東京農業大学 地域産業経営学科 SPECIAL TALK|地域の突破力!農大が地域を変えていく

地域に貢献できる知識や技能を身につけよう−宮治 勇輔(NPO法人 農家のこせがれネットワーク 代表理事) × 地域産業経営学科

周囲の人を変えるにはまず自分が変わる

前田
日本の農業が抱えている問題点は解消に向かっていますか?
宮治
うーん、イマイチかな(苦笑)。農業界の問題は複雑だけど、簡潔に言えば「販路」と「人材育成」だと思います。これまで農業はただ「つくること」を要求されてきましたが、農産物を「売ること」も大事です。元気のある農家は、自分で売り先をつくる努力をしていますね。また、学校を出てすぐに農家を継ぐのではなく、いったん社会人として別の世界で働いてから農業を始める人は元気がいいですよ。
僕は農家のこせがれの学生に「いずれ継ぐとしても、1回は就職した方がいい」と伝えています。学校を出てすぐに実家の農業を継ぐと、自分と父親だけの世界になる。自分にやりたい農業があっても経験がないので父親を言い負かすことができず、父親のやり方を踏襲するしかない。でも、そのやり方では限界があることは、今の農業界を見れば一目瞭然です。よその世界を見る、体験することはとても重要です。
大越
ご実家の豚を「みやじ豚」としてプロデュースするために会費制のバーベキューパーティからスタートしましたが、参加を呼びかけるメールを850人に送ったそうですね。どうしたらそんな多くの知り合いができるのですか?
宮地
学生時代の友人もいますが、多くは社会人になってからの知り合いです。異業種交流会にもよく行きましたが、ただ参加するだけでは意味がないです。僕は「一次産業をかっこよくて・感動があって・稼げる3K産業に。」と名刺に刷り込み、「将来は実家に戻って養豚業を継いで、自分たちで育てた豚をブランディングするためにバーベキューパーティをやります。ぜひ来てください」と宣伝して回りました。
人間は何に興味をもつかというと「こういうことをやりたい」という理念や夢なんです。僕の話を聞いて「若い人が農業をやるのはすばらしい。応援しますよ」とたくさんの人が言ってくれました。つまり、いちばん大事なのは、ただ人が集まる場に参加するのではなく、自分のやりたいことを明確にして、その思いをはっきり伝えることなのです。自分がやりたいことをやっている人は目が輝いているし、とにかく元気ですからね。
だから、まずは自分がほんとうにやりたいことを見つける。それを人に伝える機会をつくる。それが必要なのだと思います。
前田
宮治さんの著書『湘南の風に吹かれて豚を売る』のなかで、「人脈を広げるよりも種をまけ!」という言葉が印象的でした。これは私の想像ですが、宮治さんが活動しているようなネットワークに参加する人は積極的なタイプが多いと思います。けれども、私のように引っ込み思案だったり、人見知りする人間をネットワークに巻き込むためにはどうすればよいのですか?
宮地
最近、引っ込み思案な若い人が多いみたいですね。僕は横浜市で食と農の分野での起業を目指す人や地域活性化に関心がある人を対象とした「食と農のプロデューサー養成講座」のコーディネーターを務めていますが、手伝いに来てくれていた学生インターンの男性がいました。イケメンなのに「引っ込み思案なんです……」と言っていた彼は、インターンを経験することで明るくなって友だちも増えました。ビジネスは元気で明るくて好かれる人にならないとうまくいきません。自分とは違う世界にいる人と接することが大切です。
ですから引っ込み思案の人をネットワークに巻き込むには、外の世界と触れあう機会をいかにつくるかがカギだと思います。
次に、自分が変わっていく姿を見せることで「アイツどうしたんだ?」「なんか変わった?」と周囲に思わせることです。外の世界でいろいろな体験をしているらしいとわかれば「じゃあ私も行ってみようかな」と影響を与えることができます。 人の考えは他人には変えられません。まず自分自身が変わることで周囲も変えていく。それがリーダーシップなのだと思います。

こせがれ塾

みやじ豚バーベキュー

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