- 高野
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地域産業経営学科は2年前に「地域」という名称を加えました。東京農業大学(以下、農大)が地域において果たすべき社会的ミッションを考えた場合、生産、加工、そして流通まで踏み込んだ地域密着型のビジネスモデルを構築することが重要だと考えているからです。
農大は今年で創立122周年を迎えましたが、初代学長の横井時敬(よこい・ときよし)は、実学を重視する教育理念を掲げました。建学の精神は「人物を畑に還す」です。地域産業経営学科もそれにならって「人物を地域に還す」ことを狙いとしています。ローカルなビジネスモデルをつくるため、農商工連携や六次産業化を重視した研究と人材育成を行なっています。
なぜオホーツクにキャンパスがあるのかといいますと、オホーツクは北海道でも有数の農業・漁業の生産基地という豊かなフィールドです。生産、加工、そしてそれを売っていく販売・経営までをカバーする総合的な学びができるからです。恵まれた地域資源を活かしつつ、人材育成も進めて「農大が地域を変えていく」ことを北海道から発信していきたいのです。
本日は、ご当地グルメによるまちおこしの祭典「B-1グランプリ」を軸に、地域資源として「食べもの」に着目した地域活性化に尽力する俵さんにお越しいただいて、「全国の元気のないところを元気にする」ための取り組みについてお話しいただきたいと考えました。
まずは、B-1グランプリを通じて見た地域への思いや課題についてお聞かせください。
- 俵
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発端は全国的に有名になった静岡県の「富士宮やきそば学会」です。しかし、最初から食べものでまちおこしをしようとしたわけではありません。まちおこしの種を探していて「たまたま」やきそばを発見したのです。
一般社団法人愛Bリーグ本部代表理事で富士宮やきそば学会の会長でもある渡邉英彦(わたなべ・ひでひこ)は富士宮市のまちおこしに携わっていました。みんなでまちを歩く「まちの宝探し」を行なったとき、路地に駄菓子屋が残っているのを見つけました。鉄板があって、しぐれ焼きとよばれるお好み焼きとやきそばが食べられます。昔からあるので特別なものだとは思っていなかったのですが、いったん富士宮市を出て戻ってきた人が「どうも東京のやきそばはおいしくない」と言い、転勤してきた人が「富士宮のやきそばって、なんか違いますよね?」と言う。「えっ、そうなの?」と気づいたことがきっかけでした。
渡邉の生業は保険代理店ですから、やきそばを売ったところで自分の利益になるわけではない。だから遠慮なく「これはまちづくりだ。お前も手伝え」と人を引っ張り込むことができた。つまり、まちおこしの旗頭を「富士宮やきそば」にしたのです。今のご当地グルメのまちおこし活動の多くが富士宮やきそば学会をモデルにしています。
- 高野
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なるほど、自分がいつも食べているものが、他人からみると特徴があるということは、気づきにくいかもしれませんね。
たしかに食は地域の文化を代表する重要なものです。食をPRすることが地域をPRすることにどうつながるのでしょうか?
- 俵
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それ以上に住んでいる人の「郷土への誇り」にもつながると思います。B−1グランプリの狙いはまさにそこにあります。B-1グランプリは、農大OBで八戸せんべい汁研究所事務局長の木村聡(きむら・さとし)さんが企画しました。木村さんは東京で就職したあと帰郷して地元の第3セクターで産業振興の企画をしていましたが、富士宮やきそば学会に興味をもって勉強しに行きました。「食べ物を売っちゃダメなんだ、まちを売ることが必要なんだ、人を巻き込んでいかないといけないんだ」という考え方と手法を学んだそうです。肉や魚、野菜などでダシを取った汁の中に南部せんべいを割り入れて煮込んで食べる郷土料理「八戸せんべい汁」のPR活動を行ないますが、「メディアは2年くらいで飽きる」という現実に直面します。そこで「食でまちおこしに取り組んでいる団体に呼びかけて全国大会をやったら注目されるんじゃないか」と考えました。1年間の準備期間を経て、2006年に「第1回B-1グランプリ」を開催します。今年で8回目、毎年数十万人が押し寄せる大イベントになりました。
B-1グランプリには飲食店や食品加工業者が直接出ることはできません。まちおこしとして活動していて愛Bリーグに加盟している団体による共同PRイベントです。本質的に郷土の情報発信の場なのです。「うちのまちにはなにもないんです」と言う人が多いですが、実際に子どもの頃に自分が食べていたものを友人に食べさせて「うまいな、これ」と言われると嬉しいわけです。たった数百円の食べものだけれど、そういうことが郷土の誇りにつながるのですね。
大切なのは地域の活性化に取り組む人材を掘り起こし、育てること。経済効果も大切ですが、これは後からついてくるものです。
- 高野
- 地域の思い入れや文化、伝統がかかわって、つくる人も住んでいる人も誇りに思うご当地グルメ。すばらしい着眼点だと思います。




開催前日には参加団体によるパレードも行なわれた
提供:愛Bリーグ本部
提供:愛Bリーグ本部




