東京農業大学 地域産業経営学科 SPECIAL TALK|地域の突破力!農大が地域を変えていく

地域が活性化すれば、日本全体が元気になる−俵 慎一 × 高野克己

地域の再生が日本の活性化につながる

コラボレーションの可能性があるとお聞きして嬉しいですね。例えば「B-1グランプリ×醸造蔵」の企画などもおもしろいという話が出ています。醸造蔵とは味噌、醤油、日本酒です。まさにこれらは地域の文化そのものだと思います。B-1グランプリというコンテンツを用いて醸造文化に光を当て、イベントをきっかけに日常的に醸造蔵を訪れるような継続的な関係を築きたいと考えています。この分野では、農大出身の人が実家に戻って活躍しているという話をよく聞きます。
高野
そのとおりです。俵さんがおっしゃるとおり、味噌蔵、醤油蔵、日本酒蔵は地域の文化を産業として伝承している場所だと思います。酒づくりの原料は米と水、麹、酵母とひじょうに単純なもの。だからこそ、気候と風土と製法によって味に差が出る食品なのです。
神奈川県足柄上郡で酒造業を営む教え子がいます。しかし県内に地元のお酒があることがあまり知られていないそうで、行政からも「地域資源ではない」と言われて支援の手が差し伸べられず困っています。しかし、そういう状況になっているにもかかわらず、県内の酒造業者が団結してなにかをやるということにならない。連携があまり進んでいません。
同業者が団結する理由はマーケットを拡大するためです。しかし、B-1グランプリが特殊なのは、マーケットを広げようという目的ではなく、異業種の人同士が力を合わせてまちをPRしたことが、結果としてマーケットをつくったという点です。
たとえば飲食店の商圏は2kmくらいなので、人口が減れば売り上げも減少しますが、情報発信すれば商圏は広がっていきます。週末には商圏の外からお客さんがやってきますし、平日も商用で訪れたビジネスマンがご当地グルメを食べにまちに立ち寄るようになりました。ロードサイドのナショナルチェーン店で食事をしていたビジネスマンが「せっかくここまで来たんだから……」と足を運ぶと、飲料なども買いますのでまち全体の商売が上向きになります。実際に子どもが後継者として戻ってくる動きにつながっています。
高野
やはりいろいろな主体がかかわることが大事なのですね。農大は地域の経営者、農業の経営者を育てることが創設当時の役割でした。今、再び原点に戻って、研究をしつつ、それぞれの地域を支える後継者の育成を徹底して進めていきたいと思います。
直接マーケットにかかわる部分で学生たちと一緒に地域で取り組んでみたいですね。「一次産業を軸に地域で食べていく」しくみをつくるためには、マーケットがわかる人材が必要ですし、首都圏のネットワークと地域を結ぶような人材も育てていただきたいと思います。
今日はずいぶん勝手なことを申しましたが、農大と新しい試みができる可能性があるとわかりました。ありがとうございました。
高野
冒頭に「人物を畑に還す」という建学の精神をお話ししましたが、地方があってこその日本だと思います。南北で3000km、標高で4000mほどの差があり、山が多いので水系ごとに文化も風土も違う。同じ野菜でも味が異なる、実に多様な自然があるのです。
これからの日本には、その多様性を生かした地域の発展が必要です。これまでは「東京の真似をすればいい」という風潮でしたが、地域本来の姿に戻していくこと。そのためには農大が地域のリーダーを育て、人物を地域に還すとの建学の精神を実現させなければいけません。その大きな役目を担うのは地域産業経営学科です。
しかし、大学という狭いフィールドだけでは限界があります。俵さんのお話をうかがって、農大の教育理念である「実学主義」を果たすためには実践の場での教育が必要なのだという思いを、より一層強くしました。農大が基盤とする地域の活性化とそれを担う人材の育成のために、ぜひご協力いただければと思います。それが地域の再生、ひいては日本の活性化につながればこれ以上うれしいことはありません。本日はありがとうございました。

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「B-1グランプリ in 豊川」のゴールドグランプリは福島県双葉郡浪江町の「浪江焼麺太国(なみえやきそばたいこく)」が受賞。来年の「B-1グランプリ」は福島県郡山市で開催予定
提供:愛Bリーグ本部

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